2022.07.12
移住、定住の先駆者からお話を伺いました
シェアハウス白金の人脈から
シェアハウス白金の代表、松岡義博は2001年4月、
「農家の後継者育成」と「幅広い農業の魅力を伝えること」を目的に、
人材育成プログラム「実農(みのう)学園」を始めました。
全寮制2年間のこの農業体験学校には全国から応募が集まり
4年の間に12名が育ち、巣立っていきました。
そのなかのお二人が、加藤 猛さん尚美さんご夫妻です。
お二人はプログラム修了後も菊池に留まり
無農薬栽培を極めるための様々な試みにチャレンジし
人脈を広げながら定住へと歩を進めてこられました。
そのお二人と松岡は強い絆で結ばれていて、
今も交流を絶やすことはありません。
松岡が加藤さんご夫妻を訪ねたときの対談が
白金の森HPに掲載されています。
対談「人生・未来を語る」vol.1はこちらでご覧ください
移住して20年。自然体のご夫妻です
とても穏やかで自然なお二人
まだ移住や定住といった言葉が珍しかった頃に
「農」のあり方を模索して来られたお二人です。
移住や就農などを考えておられる方へ向けてメッセージを頂きました。
お二人の人柄と生き方が伝わってきます。
これから移住を考えている方へのメッセージがこちらです
●実農学園修了で家探しを始めたときは
当時は現在のような空き家を紹介してくれる場所・情報がほぼありませんでした。
先を行く移住者もいない中で、イメージしていたことはひとつだけ。
"自然あふれる中で野菜を育てながらのふたりの穏やかな暮らし"
自給自足ではなく「半農半X」を描いてはいたものの、学園を卒業する時点では、
経済よりもまずは暮らしのかたち・基盤を整えられる場所をという一択でした。
●就農し里山での暮らしを始めて、考えていたことと違っていたことは
野菜を育てての里山の暮らしは、イメージしていたとおり、毎日が楽しく穏やかでした。
ただ経済的なことが必要となってくるのも必然で、週2日アルバイトに出るようになり、
そこまでの距離的な問題や、家を間借りしての日々の暮らし方は、気ままではいられなく
なりました。
ここでの一年間の暮らしは、楽しさも満喫しつつ、その後の暮らし方を再構築するための
課題もしっかり見える化された期間となりました。
●定住を意識したタイミングやきっかけは
学園を出てから2カ所目の泗水では、農園を任せていただく中で、買っていただける野菜を
育てる力を身につけていきました。その流れから、アルバイトに使う時間は、畑に注いだ方が
よいと思うようになり、自分のやりたいことが定まってきました。
ただ、数年後には泗水を出ることになり、3度目の移転先がなかなか見つかりませんでした。
畑をやり続けたい気持ちは十分にあるものの、これは東京に戻るしかないのかと、ほぼそちら
に傾きかけていた頃です。
東京に戻っても、生き生きとした暮らしぶりのイメージが描けず、それであれば最後まで
努力してみようと。そのときに覚悟が決まったように思います。
そして本当に最後の最後のタイミングで、知人から連絡があり、一緒に見に行って、ひと目で
気に入る家が見つかりました。熊本地震までの8年間はそこで過ごしました。
●就農や自然農法などに興味のある方へ伝えたいことは
20年前の私たちの頃よりも、移住・就農に関する情報や受け入れ体勢は、明らかに整って
います。当然そのメリットは大きいものですが、大事なのは自分自身がどんな暮らし・農を
したいのかということに尽きます。
情報を追うばかりで、自分の中の声をきちんと聞かないと、自身の望む暮らし・農には辿り
つきません。
●これから菊池方面への移住を考えておられる方へ伝えたいことがあれば
菊池には移住して地に足をつけた農の暮らしをしている人が多くいます。
直接対面から得る情報を通して、漠然とした自分の思いをかたちにしていける環境があり
ます。文字(電子)からの情報は、時に自分を矮小化してしまいます。本来農に関わることは、
自分を豊かに大きくさせてくれるものです。
やっていることがではなく、あくまで人物的にでっかい人とぜひつながって、
良い仲間となれることを願います。